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Diary2017

2016.11.1~2018.2.28

 

2017/08/30

思い出話

命日。

8月30日は姉の命日。


私には姉がいました。

亡くなったのは姉が小学校6年生、私が3年生の時。

もうだいぶ昔の話です。



絵が抜群にうまい人でした。

私も絵や工作が好きで、大学は美術科程専攻、現在ものづくりの仕事をしていますが、

大人になってから姉が当時描いた絵を見ても「うまい」と素直に思えたくらいです。

天才は短命、なんて話題を時々耳にする事がありますが、

そういう時、私は間違いなく姉のことを思ってしまうのです。



姉は発病してから亡くなるまでのおよそ3年間をほとんど病院の中で過ごしました。

母がずっと付き添っていましたから、当時小学校低学年の私にとっては兄妹と母親がいない幼少期を過ごしたことになります。

まだ小さく事の大きさを理解しきれなかった子供の頃の私にとっては、その時が来るまでの時間はとても複雑な時期だったと思います。



姉と過ごした時間は確かに記憶に残っています。

一緒に遊んだ時間、喧嘩をした時間、旅行に行った時間…

ただ、今となってはもう姉と一緒だった時間よりも、いなくなってしまった時間のほうがずっとずっと長くなってしまいました。

だからか、姉といた時間は幻か夢だったのかのような、そんな風に感じることすらあります。

姉とともに過ごした時間が実は自分の記憶ではないのではないかと錯覚に陥ってしまうのです。

人の記憶、ましてや幼少期の記憶なんてこんなもの。

それでも交わした会話や触れ合った時間の中で確かな温度を伴う、そんな記憶も一つ、二つは残っているのも確かです。

それが細い糸のように何かをつなぎとめているように思います。


今日は姉の命日です。

年々、親に言われてから「あ、そうだった」と思い出すことが多くなってきましたが、今年は自然に姉のことが偲ばれます。

きっと親になったからだと思います。


今日は雨の夜です。

もうすぐ夏が終わります。